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短歌工房
三叉路
無理矢理の分離が起こり血が流れ分離不能なもののゆくさき
世界には破壊願望あるらしく世界とは神であるかもしれず
世界同時株安再び 再建の途上にあって危うき足元
天上に吊り上げられてゆく船があり再び落下する船があり
失速をしている日本経済のこの先にまだ何があるのか

希臘には希臘の青があるようにヒマラヤの空映す青い芥子
気まぐれで生きているとは思わない 夏咲く花は夏に逝くばかり
西空に夕日が沈むその後は小曾根真のボレロで終わる
いま雪が降ってほしいな見てみたいな 冷たい雪の切片などを
今月ももうお終いということにまたもどこかで傷ついている

眠くって眠くて半分死んでいる 十五時を打つユンハンスの時計
雲仙の峠道には桃色のミヤマキリシマ咲いて朧に
六甲は滴る緑、初夏の海の光りの中に兆す死
あのひとも今さまよっている死線 海の光りを見る白い部屋
切ないねみんな誰かに育てられみんな誰かに見守られて逝く

はしけが曳く本船であるだるま船 万世橋のたもとに舫う
夢みれば夢のまにまに立つ影の小さくゆれて傾いだ影の
切なさを今見ています牡蠣舟と水辺の葦と降る雨の川
折からの雨に濡れていた泥の道 右と左に分かれていった
希望もなく目標もなく生きてきた 何かが私を助けてくれた

第四章「きのうの雨」が好きだった 菜月さんの歌集『空は卑怯だ』
大切な時間が過ぎているはずの今をどうしていいかわからない
「吾輩は文豪であって悪霊ではない。」と、主婦みどりなる漱石居士は
欲しいです雷蔵映画のDVD 「炎上」「ぼんち」「ある殺し屋」など
狂四郎シリーズなど観たいもの 円月殺法、月光の青

木はのぼり木は広がって密生す ジャスミンの木の香る三叉路
降るような降らないようなとある日に 三叉路の家のジャスミン香る
メイショウサムスン勝ってダービーも終わりいよいよ六月、水無月に向かう
雨上がる 烏がそれを告げている 等間隔に啼いて晴れると
パリの空の下セーヌは流れ♪フイッツジェラルド夫妻の背景に流れ

500円のDVDで見ています『グランド・ホテル』『雨の朝パリに死す』
太陽を孕んで産んで殺したと神話の女嘆く雨降り
雨降って雨降って雨降って 降って私の心も濡れる
「恐ろしいのはお前の心」鶴屋南北の見た人の闇
その手紙見せよと迫る鬼女がいて 脚曳き歩く歌舞伎の女

さて歌も書かずはなりて候ほどに『一体二つの命ならずや』
退屈とたたかうために人生があるわけじゃなく木漏れ日の土曜日
もう遠い昔のことだ過ぎ去った水の流れと時間の記憶
遠浅の海へ流れる川がある 昔遊んだ海と砂浜
その町の白い教会、異人館 蔦が覆っていた空き屋敷

教会にあった小さな尖塔が夕日を浴びて輝いていた
山があり川と林と海があり 酒造会社に湧き水があり
遠くからでも見えた赤い屋根 鳥が運んだ実が育つ家
その町の砂を含んだ感触は松林まで続く感触
その日から現在までを俯瞰する望楼などはどこにもなくて

暖炉には火が燃えていて冬だった あなたが生まれたその年の冬
また無理をしている せっかくの気分をそして台無しにする
風吹けば風の歌書き雨降れば雨の歌書く今宵雨の歌
今年もまた同じ日の朝咲いている梅花うつぎの白い花房
命無き乾いた花の異様さとさびしさがあり五月闇あり
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風の扉
人間という名の修羅の鬼子母神 <子盗ろ子盗ろあの子が欲しい>
特別に哀しい結果生むような花の明かりもない五月闇
たゆたって生きて虚しい日暮れどき逢魔が刻に華やぐものが
体調の不調なんかも言い訳に 午前が終わり午後過ぎてゆく
物事の処理能力に欠けている 読むべき本も積んで久しく

夏に病む母であったと今思う 夏の別れは短かかったと
水濁り水は流れる浮橋を叩いて夏の川は流れる
その知らせはいつか来るはず その日を恐れその日を思う
蓮池から今垂れている一本の糸に縋って救われたくて
カンダタの蜘蛛の糸です銀色のか細い糸が垂れて蓮池

人間の中にも深い洞窟や砂漠があって翡翠の泉
桜の湯、桃の湯、そして茉莉花の湯 日暮れになればかなしきものを
人間てさびしい存在なんですねいつか必ず死ぬ私たち
巧妙に隠されている思いでも伝えてしまう波動粒子が
フラミンゴと言えばブランチの『欲望という名の電車』のホテル・フラミンゴ

フラミンゴ色にやさしい花びらの数葉を巻き起きあがる朝
どこまでも遠くゆらいでゆく火影 失ってゆく時間の記憶
燭台に赤い蝋燭立つように紅花橡の木、落葉高木
画面では霧の中厳かにレクイエム流れラクリモサ流れ
ヒトツバタゴ、なんじゃもんじゃの木の花の白く地上を染めて夏の日

失敗に人は懲りないものであり懲りたところで失敗はする
傍らを通りすぎてゆく人生に その大袈裟な帷子を脱げ
懐かしい思いは常に一定の容量を持ちあなたへ向かう
午後からは病院にゆく 曇るもよしいっそ止まない雨もまたよし
浅草を歩いた荷風山人の日々の天気と日々の足跡

先行きは吹雪であるかもしれぬゆえ 非情な時代の美しき危うさ
東証の株価指数も崩落し冷気漂う 夏になるのに
無患子(むくろじ)の実で羽子板の羽根を作る 今朝のTV の荻窪散歩
夜だから霧が湧くから雨だから理由は何でも風の扉開く
幸福は第一楽章ではなくて第三楽章あたりに芽生える
絵巻の中に
私の今一番の友だちは小曽根真のピアノ きっとね
音楽と時間と怠惰 それだけですでに半分癒されている
私には一人の時間があるけれどもし無かったら・・・恐怖ではある
私に音があったら音を書き色があったら色を描くのに
歌などというもおこがましい徒然の日記に過ぎない気の葉言の葉

半分は私の心も病んでいて そのため書いている歌かもしれない
恋に狂い花に狂っているような 二人椀久、保名のような
木陰から木陰へ移動してゆけば蜜蜂が来て薔薇に触って
えごの木はちしゃのき、野茉莉、Japanese snow bellとも呼ばれサポニンを含み有毒という
誘拐を怖れることもないらしき 唯懼れつつ見ているばかり

第二楽章弦の音から始まってピアノへ 祈りのように移りゆく過程
『題名のない音楽会』で聴いたのはフジコさんの弾く繊細な《皇帝》
とても長い歳月が流れ 音を視る力を失ってゆく歳月が流れ
えごの花また咲く季節 木の枝に地に水面に二度三度咲く
雨ののち黄色く咲いて棕櫚の花 むっくり起き出した亜熱帯

雨の日の川の岸辺にエゴの花 稚魚も成魚も消えた水辺に
雨の中うすむらさきのシャガの花 白山藤の樹の下に咲く
疎水には風も流れて飛び石の庭につづいてゆく小径あり
錦鯉たくさんいたが今はいない雪解け水が流れていた町
生成の秘密、偏見あると知る 幾千年の時が流れる

雑草の伸び放題の逞しく 地を這うものは滅びを知らず
清浄無垢 私たちにはそれがない 絵巻の中に雪月花あり
この花は知ってるだろうか私たち人間がどんなに沢山人を殺したか
何をするでもなくて日が暮れて ぼんやり浮かぶ白い満月
雨雲の動きをヤフーで確かめる 伊豆上空を通過している

遅生まれ低気圧ゆえ迷走し力弱くして洋上に去る
五月闇 雲が覆って月もなく花の明りを見ることもなく
五月半ば薄曇る空暮れかかり 花の明りも木の下に消え
牛、豚、鶏、鳥獣の命を喰べて地球を荒らして
例えばヒロシマ・ナガサキ、例えばアウシュヴィッツ、数限りなく

どれほどの人を殺してきたのだろう21世紀までに人類
橡の木の花は似ているルピナスに 樹の中に灯る白い蝋燭
悲しいくらい明るい陽が落ちて海はまもなく金色となる
アレクセイと命名された犬でさえ 狩の時間も眠ってしまう
それぞれの時間の中で生きてゆく 午睡の時間過ぎて翳る陽
『日曜日の朝』
モスクワとぺテルブルクを行き来する 孔雀時計は三時で止まる
この世にはとても幸福な人がいて祝福された人たちがいて
いつまでか此処に彼処に飛び散らう魂の幾つか 青蛍となむ
時折は紙片のような蝶が来て 遥かな時を伝えてくれる
骨董の値打ちはひとつ今を生き今を感じる器であること

空木咲く季節にいつかなっていた 花明かりする上水の道
霧雨が上がれば夏の上水か 夏の扉が開く雨の朝
双頭の鷲の国から流れ出て薔薇の刻印背にさまよって
雪の降るぺテルブルクの片隅で1907年と刻印されて
クレムリン宮殿のあの葱坊主 騎馬連隊の青い制服

死の方はできれば御免蒙りたく されど我儘通り申さず
私は多分望んでいるのでしょう 夢の中なる一生午睡
選べば選べるかもしれない 「生涯連休」望まれますか
まだ蕾、蕾ばかりの紫陽花と 蝸牛這う櫟の若葉
六月はまだ紫陽花の片陰に眠り 漠然と不安のみ白く

新しい地平が現れても黄昏はここに 紫に空を染めて
退屈な午後ひとときの軽やかさ小曽根真の<ジュノム>カデンツァ
何か一つ突き抜けてゆくその時に手応えがある硬質の触感
『日曜日の朝』という絵の六匹の猫と出会った秋の日の画廊
踏み潰す相手がだんだんなくなって巨象の大足置き場所に困る

次期総理に安倍氏がなれば明らかに危険が増すと思うしかなく
ちゅんちゅんと雀が鳴いて薔薇咲いて良い雨が降る五月の朝
そのように過ぎてゆく日のありやなし 武蔵野の果ての逃げ水
あれは夢?そう夢だった何もかも全ては夢の出来事だった
福音書の一節に言う忘れがたく <怒りのために罪を犯すな>

重なって重なってゆく音韻のさやかに平安京の名残りの
琴弾浜その白砂の白よりも白き馬立つ八朔の馬
海辺には海辺の町の風習が 端午の節句と馬の節句と
馬節句、白馬の節句 八朔の団子の飾り馬の懐かし
帯止めになった私のお祖母さん 箪笥の一番右の抽斗

白珊瑚 珊瑚の海の薔薇の精 小さなピアスになってしまった
海蛍、いいえ私は蛍烏賊 青く光って漂う生体
ウニ、ヒトデ棘皮動物荒金の針千本に似ぬ柔らかさ
烏が鳴きまた現実が戻ってくる カクレクマノミ隠れ家は無し
足跡のほかには何も残さない その足跡も波が消し去る