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短歌工房
風が過ぎた青空
行き倒れそのまま死んでゆく人がいるというのに景気は上々
麗々しいパックの中にあるものはイワシ かよわき鰯の消えゆく漁場
本鮪一匹競値1111万円也 景気は順調に回復という
地吹雪の救出現場を中継するニュースで終る2005年か
羽越線事故の現場を通るもの 遮るもののない海だった

行く年の最後に虹を見るように 五ヶ瀬川産鮎の昆布巻
五ヶ瀬川、きらめく鮎の集めたる日の温かさ昆布巻にして
宮崎の五ヶ瀬川なる川の鮎、慶びの魚、若鮎を食む
風光る五月の鮎の香りして 凍てつく冬の食卓和む
宮崎の五ヶ瀬川なる川ありて透明の魚(いお)生まれるという

病巣は木の洞(うろ)に根に土にあり 冬青空は透明に澄み
水鳥の羽毛につつむうつしみのそらみつやまと日も暮れにけり
誰一人訪ねる人のない家に似ている 風が過ぎた青空集 
丘の上、雑木林と五軒の家 その丘に建つ一棟の屋根
残骸を曝すだけなら美しい国立駅は消えるべきかも

国立の駅は解体されるという移転費用もない国立市
歴史ある東京駅は残された春の朧の帝都であれば
夕焼けと同じ色の柿色の三角屋根の駅舎があった
赤松の林も雑木林さえ伐られとうとう街は駅舎を伐った
北口が開発されてマンションが三角屋根の背にそそり立ち

スカラ座が壊され駐車場になり大学通りに次々にビル建ち並び
夕日が見え富士山が見え街が見え遠く丹沢が耀いていた
あの駅が好きで選んだ街だった 国立駅が美しい頃
犯罪に近い開発競争に三角屋根の駅舎は追われ
それももう今は昔の物語 そそり立つマンション群の下の蟻んこ

オレンジの瓦の三角屋根が見え 林が見えて崖(はけ)のあの家
赤松の林と駅舎、一ツ橋大学のあった国立は遠い
国立の駅舎保存は否決され跡形もなく消えるというが
悲しみはフラッシュバック 『幾度目かの最期』を書いて久坂葉子は
海沿いの散歩道など変貌を遂げたといえど未だ紫の雨煙り

一年に多分一度か二度くらい故郷を恋う 渡りの鳥か
横転をしている列車、雪原に飛び散る椿、山茶花の赤
雪国に雪降り積もり関東に空っ風吹く 西方のやわらかな青
抑揚が決定してゆくすべてのこと内容よりも如実に明らかに
刺々しいっていう場合の棘って文字通り刺すと痛くて触るとさらに
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