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短歌工房
精霊
ジャングルに残っているのはナマケモノ 水没ジャングル泳いで渡る
立ったまま眠る大木 森の木々 水没ジャングルアロワナの森
好きなのは水没ジャングル いえ水が何より好きなだけかもしれない
大陸がそこにあるからこの空に黄砂が舞って春の日本
現実と少し違って繊細な虚数微妙に配合されて

木々の間に光を追ってゆくように 声追うばかり鶯はどこ 
深夜にポール・マッカートニーLiveを視る ブラームス2番に続く放送
華麗なる春がゆくとき一斉に芽吹きはじめる夏の草木
繊毛は何を探してそよぐのかミカドウミウシ裸鰓目
寄りかかるところ失くしてヤドカリのヤドカリとして終える一生

学校の兎は死んだらしいという 兎のいない校庭の小屋
いつのまにか飼われていたよ その兎 誰にも望まれないのにいつか
落ち着かず眠れない日がありまして不安のようなものがよぎって
木の枝に木の枝が触れて告げるでしょう 季節が変わる四月の朝
十重二十\重取り囲まれて藪の中 現実というしがらみの中

実存を鷲づかみする方法を知っているって言ってましたが
爛漫の春の光の青空に 紙飛行機の一つが消える
誰も最後は知らなくてただひとときの夢の波照間
花散らす雨が降るから湖に小舟もなくて春のみずうみ
いつまでの桜吹雪か生きて逢うこれが最後と四月の吹雪

金色の浄土とも見る大乗寺、開け放つ時、応挙の伽藍
春の日が窓越しに射す館内の小さな白い動物の骨
雨の日に晴れの日に咲く花があり 花をゆらしてすぎる風あり
昨年の秋、叔母が死にわが家の私までの血脈終る
長く長く生きてみるのもよいものと百歳の翁笑みつつ語る

しかしまた泥の中にも咲く蓮があると春の日その曙に
格差あり格差の下のその下の下に溜ってヘドロとなって
世の中は弱肉強食 食されて砕けて消えた命だろうか
埃及の王墓の壁のレリーフに猫の手らしき肉球の跡
あの世から見ているような写真があり生前、死後を渡る精霊

生きるともいえない生活ともいえない鵺のようなる生の実体
わが内の鳥獣戯画を完成し涅槃の釈迦のそばにやすらう
死んでいた あなたの大事なあの人は 墓地には小雨が 映画の話
一週間前まで元気だった人 敬礼をして去るように逝く(追悼・久世光彦)
どくどくと血潮見せれば怯えよう 桜咲く日も散る日も淡く
(桜の樹の下には死体が埋まっているというが)
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